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はじめに

地震や台風に備えて、水や食料を用意している家庭は多いと思います。しかし、災害で水道が止まったとき、トイレをどうするかまで考えているでしょうか。

普段は当たり前に使っている水洗トイレも、断水や排水管の破損によって使えなくなることがあります。特に、高齢者がいる家庭では、トイレを我慢することや、使い慣れないトイレを利用することが大きな負担になりかねません。

災害用トイレは、1人1日5回、7日間で35回分を備えることが基本的な目安です。ただし、必要な回数を用意するだけではなく、家族が無理なく使えて、使用後の処理までできる商品を選ぶことが大切です。

この記事では、災害用トイレの必要回数を家族人数別に計算し、携帯トイレと簡易トイレの違いや、おすすめ4商品の特徴を比較します。高齢者がいる家庭で気をつけたい点も紹介しますので、防災用品を見直す際の参考にしてください。

この記事でわかること

  • 家族の人数に合わせた災害用トイレの必要回数
  • おすすめ4商品の違いと購入前の確認ポイント
  • 高齢者がいる家庭での使い方や使用後の処理方法

災害用トイレはなぜ必要なのか

断水していなくてもトイレを流せない場合がある

災害が起きたとき、水道が止まらなければトイレを使えると思うかもしれません。しかし、地震では地中の排水管や建物の配管が破損することがあり、水が出る状態でも排水できない場合があります。

特に集合住宅では、上の階から流した汚水が下の階であふれるおそれがあります。そのため、建物や排水設備の安全が確認できるまでは、無理に水を流さず、災害用トイレを使用することが基本です。

また、浴槽に水をためていても、排水設備が損傷していればトイレを流すためには使えません。災害用トイレは、飲料水や生活用水とは別に準備しておきたい防災用品です。

トイレを我慢することが健康上の負担になる

トイレが使えない状況では、水分を控えたり、食事を減らしたりして、できるだけトイレに行かないようにする人もいます。

しかし、水分不足は脱水症状や便秘などにつながるおそれがあり、特に高齢者では注意が必要です。災害時のトイレ問題は、不便というだけでなく、健康を守ることにも関係しています。

避難所のトイレが使えるとは限らず、夜間や悪天候の中を移動するのも負担になります。自宅で安全に避難生活を続けるためにも、家庭用の災害トイレを備えておくことが大切です。

災害用トイレは何回分必要?家族人数別の目安


災害用トイレは1人1日5回を基本として、7日分の備蓄が推奨されています。2人家族なら70回分、4人家族なら140回分が目安です。高齢者やトイレの回数が多い方がいる家庭では、実際の使用回数に合わせて余裕を持たせましょう。

1人1日5回、7日分が基本

経済産業省は、災害用トイレの備蓄量として、1人1日5回、1週間分に当たる35回分を推奨しています。

例えば、夫婦2人なら70回分、4人家族なら140回分が目安です。最低3日分から準備し、できれば7日分まで増やすと、支援や復旧に時間がかかった場合にも備えやすくなります。

【家族人数別の必要回数】

家族人数 3日分 7日分
1人 15回 35回
2人 30回 70回
3人 45回 105回
4人 60回 140回
5人 75回 175回

例えば3人暮らしなら、50回分を2箱用意しても100回分なので、7日間の目安には5回分足りません。この場合は、追加の小容量セットを組み合わせる方法もあります。

購入するときは、商品の箱数ではなく、合計で何回分になるかを計算しましょう。

高齢者がいる家庭では余裕を持たせる

1日5回はあくまで標準的な目安であり、すべての人に当てはまるわけではありません。

普段からトイレが近い方や、夜間に何度もトイレへ行く方がいる場合は、実際の使用回数を基準に考えると安心です。

例えば、3人家族のうち1人が1日7回、ほかの2人が5回ずつ使用するなら、1日17回、7日間で119回分が必要になります。

必要以上に大量購入することよりも、家庭の生活習慣に合った数量を備えることが大切です。

携帯トイレと簡易トイレの違い


携帯トイレは、自宅の洋式便器に袋を取り付けて使うタイプです。一方、組み立て式簡易トイレは、便器が破損した場合などに独立して設置できます。自宅のトイレが使えるかどうかによって、必要な商品が異なります。

災害用トイレには、大きく分けて、普段の便器に取り付ける携帯トイレと、便座を組み立てて使用する簡易トイレがあります。

種類 主な使い方 向いている状況
携帯トイレ 便器に袋を取り付ける 自宅の便器が使える
組み立て式簡易トイレ 専用の便座を設置する 便器が破損した場合など

携帯トイレは自宅での在宅避難に便利

携帯トイレは、洋式便器に専用の袋を取り付け、排泄物を凝固剤で固めて処理する商品です。

普段使っている便座に座れるため、新しいトイレの使い方に慣れる必要が少なく、高齢者にとっても利用しやすい方法といえます。

ただし、便器そのものが破損していたり、建物の安全が確保できなかったりする場合は使えません。

組み立て式簡易トイレは便器が使えない場合に備えるもの

組み立て式の簡易トイレは、段ボールや樹脂製の本体に便座を取り付けて使用します。

普段の便器が使えない場合でも設置できますが、置く場所や床の安定性、利用する人の体格を確認する必要があります。

また、商品によっては便座が低く、足腰の弱い方には立ち座りが難しい場合があります。自宅用の携帯トイレと、便器が使えない場合の簡易トイレを、役割を分けて備える方法が現実的です。

災害用トイレを購入する前に確認したい5つのポイント

  • 凝固剤と便袋が必要回数分そろっているか
  • 使用後の臭い対策ができるか
  • 高齢者でも扱いやすいか
  • 保存期間と保管条件
  • 1回当たりの価格とセット内容

1.凝固剤と便袋が必要回数分そろっているか

災害用トイレは、凝固剤と排泄物を受ける袋をセットで使用するものが一般的です。

例えば50回分と表示されていても、付属する防臭袋まで50枚とは限りません。商品ごとに凝固剤・便袋・防臭袋の枚数が異なるため、セット内容を確認しましょう。

2.使用後の臭い対策ができるか

災害時には、ごみの収集が通常どおり行われない可能性があります。

使用済みのトイレを数日間保管することも想定すると、防臭袋の有無は重要です。凝固剤の消臭機能と、防臭袋で臭いの漏れを抑える機能は異なるため、分けて確認しましょう。

3.高齢者でも扱いやすいか

袋を便座に取り付ける、凝固剤を入れる、使用後の袋を結ぶといった作業は、普段なら難しくなくても、災害時には負担になる場合があります。

特に手指の力が弱い方や、腰を曲げにくい方がいる家庭では、袋の大きさや作業の手順を事前に確認しておきたいところです。

4.保存期間と保管条件を確認する

非常用トイレには、長期保存を想定した商品があります。例えばアイリスオーヤマのBTS10-50は、工場出荷時点で15年の保管期限を確保する仕様です。

ただし、購入した日から必ず15年使えるという意味ではありません。届いた商品の期限表示や保管条件を確認し、高温多湿や直射日光を避けて保管しましょう。

5.価格は1回当たりの費用で比較する

災害用トイレを比較するときは、販売価格だけでなく、1回当たりの価格も計算するとわかりやすくなります。

例えば3,000円の50回分セットなら、1回当たり60円です。ただし、防臭袋の枚数や付属品が異なる商品を、価格だけで判断しないようにしましょう。

災害用トイレおすすめ4商品を比較

ここでは、家庭での備蓄に使いやすい3商品と、便器が使えない場合に備える組み立て式トイレ1商品を紹介します。

【おすすめ4商品の比較表】

商品 付属回数 主な特徴 向いている用途
BOS 非常用臭わないトイレセット 50回 防臭袋が50枚付属 臭い対策重視
アイリスオーヤマ BTS10-50 50回 15年保存仕様 家族の備蓄
ケンユー ベンリー袋G 防臭袋プラス 30回 消臭剤入り凝固剤と防臭袋 30回単位の備蓄
サンコー R-39 5回分付属 便座を組み立てられる 便器の代わり

※サンコーは便器本体の代わりになる商品で、ほかの3商品とは用途が異なります。

BOS 非常用臭わないトイレセット50回分|臭い対策を重視する家庭に

BOSの非常用臭わないトイレセットは、防臭袋50枚、凝固剤50袋、汚物袋50枚、便器カバー2枚が付属する商品です。

特徴は、排泄物を入れた袋を専用の防臭袋で包めることです。使用済みトイレをすぐに捨てられない状況でも、臭いが漏れる負担を減らす工夫がされています。

特に、家族が多い家庭や、使用済みトイレの保管場所が限られる家庭では、検討しやすい商品です。

一方、防臭袋と汚物袋をそれぞれ結ぶ作業が必要なので、手指の動きに不安がある方には、家族によるサポートも考えておくとよいでしょう。

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アイリスオーヤマ BTS10-50|家族分をまとめて備蓄したい家庭に

アイリスオーヤマのBTS10-50は、凝固剤50個、汚物袋55枚、防臭袋12枚が入った非常用トイレセットです。

凝固剤には抗菌成分が含まれており、長期間の備蓄を想定した15年保存仕様であることも特徴です。

50回分を基本単位として考えれば、家族人数に合わせた数量の計算もしやすくなります。複数セットを購入する際は、送料も含めて比較するとよいでしょう。

注意したいのは、防臭袋が12枚という点です。便袋を毎回交換できても、防臭袋は複数回分をまとめて収納する使い方になります。臭いや衛生面が気になる場合は、追加の防臭袋も検討しましょう。

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ケンユー ベンリー袋G 防臭袋プラス30回分|消臭と防臭の両方を考えたい家庭に

ケンユーのベンリー袋G 防臭袋プラス30回分は、凝固剤30包、蓄便袋30枚、防臭袋3枚などが付属する商品です。

凝固剤には殺菌剤と消臭剤が配合され、排泄物を固めながら臭いを抑える仕組みです。さらに、使用済みの袋を入れる防臭袋が付属しています。

30回分は、2人家族の最低3日分に当たる数量です。まずは最低限の備蓄を用意し、その後、必要に応じて追加していく方法にも向いています。

ただし、防臭袋は30枚ではなく3枚です。使用済みの袋をまとめて保管することになるため、袋の容量や密閉方法は事前に確認しておきましょう。

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サンコー R-39|自宅の便器が使えない場合に備える

サンコーの非常用簡易トイレR-39は、段ボール製の本体に便座を取り付けて使用する組み立て式トイレです。

メーカー公称の耐荷重は約120kgで、凝固剤と汚物袋が5回分、目隠し用のポンチョも付属しています。折りたたんで保管できるため、普段は場所を取らずに備えておけます。

便器が壊れた場合などには便利ですが、設置時の高さは約32cmです。一般的な家庭用トイレより座面が低いため、足腰が弱い方や、立ち上がる際に支えが必要な方には向かない場合があります。

また、付属する処理用品は5回分なので、長期の避難生活には追加の備蓄が必要です。

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家族の状況に合わせて選ぶことが大切

4商品を比較すると、どれか1つがすべての家庭に最適というわけではありません。

臭い対策を重視するならBOS、家族分の備蓄量と価格を比較するならアイリスオーヤマ、30回単位で消臭・防臭対策を備えるならケンユーが候補になります。

そして、自宅の便器が使えなくなることまで想定するなら、サンコーのような組み立て式トイレを補助的に備える方法があります。

大切なのは、必要な回数を確保したうえで、家族が使いやすい商品を選ぶことです。

高齢者がいる家庭で注意したいこと


高齢者がいる家庭では、夜間の足元を照らす照明、立ち座りしやすい便座、使用後の袋を安全に処理できる環境が大切です。特に冬の停電時は、寒さや暗さによる負担も考え、普段の生活に近い状態でトイレを使えるように備えましょう。

夜間でも安全にトイレへ行けるようにする

高齢者がいる家庭では、災害用トイレの性能だけでなく、設置場所も重要です。

停電すると廊下やトイレが暗くなり、慣れた自宅でも転倒の危険があります。特に夜間にトイレへ行く回数が多い方は、足元を照らすライトを備えておくと安心です。

人感センサーライトや電池式ライトを使い、寝室からトイレまでの通路を安全に移動できるようにしておきましょう。

足腰が弱い方には便座の高さと安定性が重要

組み立て式のトイレを選ぶ場合は、耐荷重だけでなく、座面の高さや立ち座りのしやすさも確認しましょう。

低い便座では立ち上がるときに膝や腰へ負担がかかります。また、周囲につかまる場所がないと、バランスを崩すおそれがあります。

普段から手すりや介護用トイレを利用している方の場合は、災害時にもできるだけ同じ姿勢で使える環境を整えることが望ましいでしょう。

使用後の片付けを誰が行うか決めておく

災害用トイレは、用を足したあとにも作業があります。

便袋を取り外し、凝固剤で排泄物を処理し、袋を密閉して保管場所へ運ばなければなりません。こうした動作は、手指の力が弱い方や腰を曲げにくい方には難しい場合があります。

介助が必要な家庭では、使用後の処理を誰が担当するか、手袋や消毒用品をどこに置くかまで考えておくことが大切です。

冬の停電・断水時は寒さにも備える

東北地方など寒さの厳しい地域では、冬の災害を想定した対策も必要です。

暖房が止まるとトイレや廊下が冷え込み、夜間に移動するだけでも身体に負担がかかります。寒い場所で長時間待たずに使えることは、高齢者にとって重要な条件です。

室内の安全な場所で使用できるようにするほか、防寒着や足元の照明も備えておきましょう。使用済みトイレの保管場所についても、衛生面を考えながら事前に決めておくと安心です。

災害用トイレの使い方と使用後の処理方法

携帯トイレの基本的な使い方

携帯トイレの使用方法は商品によって異なりますが、一般的には次のような流れになります。

  1. 必要に応じて便器の中に保護用の袋を取り付ける
  2. 便座の上から排泄用の袋をかぶせる
  3. 排泄後、説明書に従って凝固剤を使用する
  4. 排泄物が漏れないように袋の口をしっかり結ぶ
  5. 必要に応じて防臭袋に入れ、一時保管する

凝固剤を使用前に入れる商品もあれば、使用後に振りかける商品もあります。必ず購入した商品の説明書に従ってください。

一度、平常時に家族で設置手順を確認しておくと、災害時にも落ち着いて対応しやすくなります。

使用済みトイレは密閉して一時保管する

災害時には、ごみ収集が止まる可能性があります。そのため、使用済みの災害用トイレを一時的に保管する場所も考えておきましょう。

袋は確実に密閉し、必要に応じてふた付きの容器などに入れます。食品や飲料水の近く、生活する部屋の中などは避け、衛生的に管理できる場所を選びます。

ただし、処理済みの排泄物をどのようなごみとして出せるかは、自治体や災害時の収集体制によって異なります。必ず自治体の指示に従って処分してください。

備蓄場所はトイレ付近と持ち出し用に分ける

災害用トイレを購入したら、押し入れの奥にしまい込まず、家族が場所をわかるようにしておきましょう。

自宅で使用する分はトイレの近くなど取り出しやすい場所に保管し、避難時に持ち出す分は防災リュックに分けておくと便利です。

また、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、手袋、手指衛生用品、照明なども一緒に備えておくと、実際に使うときの負担を減らせます。

災害用トイレのよくある質問

Q.100回分あれば何人で何日使えますか?

1人1日5回で計算すると、2人家族なら10日分、4人家族なら5日分です。

3人家族の場合は約6.7日分となり、7日間の目安である105回分には少し足りません。家族人数と普段の使用回数に合わせて計算しましょう。

Q.使用期限を過ぎた災害用トイレは使えませんか?

使用できるかどうかは、商品の保存条件や状態によって異なります。

凝固剤は保管環境の影響を受ける可能性があり、袋も劣化することがあります。メーカーが定める使用期限や保管期限を確認し、期限を過ぎた商品は買い替えを基本に検討しましょう。

Q.断水したらお風呂の残り湯でトイレを流してもよいですか?

排水管や下水道に損傷がある場合、浴槽の水で流すことは危険です。

特に地震の直後は、排水設備の安全が確認できるまで水を流さないようにしましょう。断水が解消されても、排水設備に問題があればトイレは使えません。

Q.トイレットペーパーも備蓄した方がよいですか?

災害用トイレとは別に、トイレットペーパーも備えておきましょう。

必要量は家庭によって異なりますが、普段の使用量を確認し、少なくとも1週間分を確保することから始めると考えやすくなります。

ただし、使用済みペーパーを災害用トイレの袋に入れてよいかは、凝固剤の処理能力や商品の使用方法も確認してください。

まとめ|必要な回数と家族の使いやすさを基準に備えよう

災害用トイレは、1人1日5回、7日分に当たる35回分を基本として、家族人数に合わせて備えることが大切です。

ただし、トイレが近い方や、介助が必要な高齢者がいる家庭では、標準的な回数だけでなく、実際の生活に合わせて余裕を持たせましょう。

また、商品を選ぶ際は、凝固剤や便袋の数だけではなく、防臭袋の有無、使用方法、使用後の処理まで確認することが重要です。

今回紹介した4商品は、それぞれ特徴が異なります。自宅の便器が使える場合を基本にしながら、便器が破損した場合にも備えておくと、さまざまな状況に対応しやすくなります。

災害用トイレは、買って保管するだけではなく、家族が実際に使える状態にしておくことが本当の備えです。

まずは家庭で必要な回数を計算し、無理なく使える商品を選ぶことから始めてみてください。